機内の労働環境

航空機は高度10000から14000m(対流圏)を、速度ほぼ800kmで移動する乗り物であり、機内は特殊な閉鎖空間です。
離陸後、水平飛行中は富士山の5合目で働いているのと同じです。
人体への主な負荷要因は気圧、酸素分圧、湿度、長時間・長距離飛行、時差です。
持込んだポテトチップスの袋が機内でパンパンに膨れたり、機内で開けたペットボトルが着陸時に萎んでいるような気圧変化が人体にもおきています。
したがって体腔に影響が出ます。
高山の登山中に水分を取らずにいればだるくなって眩暈がしやすいのと同じ状態も人体におきています。
これは酸素分圧・動脈血酸素飽和度が低いためで脳梗塞・心筋梗塞に繋がります。
温度は一定に保たれていますが、台所は冷蔵庫とドアーからの隙間風により低い室温となっています。
砂漠と同様の湿度レベルにおいては、1時間にコップ1杯ほどの水分補給で体内水分量を正常に保つことができます。
脱水状態でいると慢性疾患や風邪などは悪化しやすくなります。
閉鎖空間の上、外気取り込み空気を操縦室・客室に循環させているので空気媒体の感染症は短時間で拡散します。
【参考】
客室内は地上高度2000-2500m前後と同様の状態になります。
その他、振動、傾斜、加速重力、騒音、排気ガス、宇宙放射線などもあります。
持ち込み酸素ボトルの効果も地上とは異なります。
長時間飛行の場合には閉所恐怖症に近い精神状態になる人もでてきます。
乗客や運航乗務員と違い、客室乗務員は肉体労働をしているのでエコノミー症候群にはかかりにくいのですが、脱水症状を放置し続けると動脈血酸素レベルが下がり、脳梗塞・心筋梗塞への付加原因にもなります。
日本の航空会社では、座席数、機内持ち込み手荷物をする乗客の増加などにより、収納に対する苦情対応が多くあるようです。
機内持込手荷物の問題について、外国航空会社では航空業界の借款に基き持ち主が収納するのが基本です。
乗客自身が出し入れできない物は全て、ドアーを閉める前に荷物室(カーゴ)に移していただきます。
CCがお手伝いするのはサポートを必要とする乗客(ハンディのある人、UM、や明らかに私自身より力のない人)のみです。
第9回日本宇宙航空環境医学会宇宙航空医学会認定医講習会テキスト第4版2014年、 J Graf et al 2012 D Silverman et al 2009